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このページは肛門嚢に発生した腫瘍で、腰椎下リンパ節に転移した症例に関する治療が記載されています。
実際の症例
1ヶ月ぐらい前からお水をよく飲み、震えるとの事で来院された10歳のパピヨンです。この時点で、お尻に塊が出来ていることは認識されていました。
レントゲン写真
胸のレントゲンでは問題なかったのですが、お腹のレントゲンで、明らかに大腸を下に押しやる塊がはっきり認識されています。この部位の腫れは腰椎下リンパ節への転移を非常に疑う所見です。
手術所見1
なお、血液検査では、異常なほどカルシウムが上昇しておりました。これは悪性腫瘍による偽りのホルモンが産生されて、体が異常な反応を示している状態でした。このままでは、命にもかかわる可能性が高いため、即手術となりました。手術はまず、お尻に塊から摘出しますが、筋肉と非常に癒着が強く、摘出するのに非常に時間がかかりましたが、何とか切除できました。
手術所見2
続いて、開腹にて精査したところ、腰椎下リンパ節が異常に腫れており、血管を巻き込む形で存在していたことから摘出は困難と考え、リンパ節に直接抗癌剤を注入しました。
摘出した肛門の腫瘤と病理組織検査
一部リンパ節も生険して検査したところ、肛門嚢アポクリン腺癌で腰椎下リンパ節転移と判断されました。非常に厳しい状況ではありますが、肛門の腫瘍が摘出された時点で、カルシウム濃度は正常値に戻ったため、これ以上転移した腫瘍を大きくしないよう抗癌剤で維持する治療を試みています。
現在の様子
現在は元気食欲も安定し、状態は非常にいいのですが、転移したリンパ節が今後どのように推移するか経過観察中です。よく腫瘍が転移するとすぐに死んでしまうと推測される方がいらっしゃいますが、転移して2年以上生存する例も最近は非常に多く報告されておりますので、転移したからといってすぐに悲観的なことは考えられないほうがいいかと思います。いずれにしても、もしこのような病気で困っている方がいらっしゃいましたら、一度ご相談くださいね。
治療4ヵ月後の経過所見
局所抗がん療法後、4ヶ月経過した時点のレントゲン写真です。腰椎下リンパ節は25%程に縮小し、便の出もよく、経過は非常に良好です。
実際の患者さんからの声
袋井市に在住の月花さんからの声です。非常に見えにくい腫瘍のため、実感がわかなかったようですが、上記の写真で理解が出来たようです。今のところは体重も増え、経過は良好です。
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