解剖図
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水頭症とは、脳室内に脳脊髄液が貯まり、脳室が拡張し脳の組織が圧迫されていろいろな神経症状(ふらつき、痙攣等)が現れてくる病気です。脳の中に脳脊髄液が貯まる内水頭症と脳の外側に貯まる外水頭症がありますが、圧倒的に内水頭症の発生が動物では多いです。
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初診時の写真
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この子は、生後5〜6ヶ月のダックスです。写真のようにあまりうまく起立できず、眼はうつろで、活力がありません。また、もっとひどくなると頭部が腫れて、眼が両側とも外側に向いてしまいます。
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頭部レントゲン写真
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上記は初診時の頭部レントゲン写真です。正常と比べ頭が出っ張っていて、骨が薄いのが分かります。これは水がたまっていることによって内側から骨を圧迫しているためにおきる所見です。
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脳のエコー所見
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本来は頭蓋骨に覆われて、エコーは見えないのですが、水頭症の子では頭蓋骨の発達が悪く、頭のてっぺんで骨が無い子が多いため、そこからエコーを行っています。ほとんどが脳脊髄液で満たされ、実質(脳)があまり無い状態になっています。
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手術所見
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一般には飲み薬で様子を見ることが多いのですが、症状の改善が乏しかったため手術に踏み切りました。この手術内容は脳内に管(カテーテル)を入れ、背中を通じてお腹の中まで通し、脳脊髄液をお腹の中に逃がす治療が一般的となっています。まず、上図のように頭は正中を向け、体は横に向けるという姿勢をとります。十分な消毒を行い、手術を行います。まずは、お腹にカテーテルをいれ、背中から首まで通します。次に首の後ろに弁を設置し、お腹のカテーテルとくっつけます。その後、ドリルで側頭骨に穴を開け、カテーテルを入れ、首を通し、弁とくっつけます。
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術後レントゲン写真
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上記は術後のレントゲン写真です。頭部とお腹に管(カテーテル)が入っているのが分かります。術後の症状の改善は少しずつ出てきています。この病気はチワワに多いのですが、他の犬種でもよく認められます。生後数ヶ月の子で、ふらつきなどが認められたら、この病気の可能性がありますので、できるだけ早く様子を見せてくださいね。
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患者さんからの声
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この子は実は当病院の看護婦のミニダックスです。術後の経過を記載してもらいました。実際2ヵ月毎くらいで経過を見ていますが、少しずつよくなっていますね。なお、現在術後2年以上経過していますが、大きな問題も起きず、経過は良好です。
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