あいの動物病院治療成績1
皮膚の病気

犬のいろいろな皮膚疾患
猫のいろいろな皮膚病
免疫介在性の皮膚疾患が疑われた症例の治療例

血液の病気

免疫介在性溶血性貧血の治療例
血液凝固異常症(vWF欠損病?)の1例

心臓・血管系の病気

犬の心臓弁膜症(主に僧帽弁閉鎖不全)の病態生理と治療
犬の動脈管開存症の2症例(外科治療)
急性フィラリア症(後大静脈塞栓症)の治療例
ネコの血栓症を伴う心筋症の治療例
ネコの感染性心嚢膜炎の治療例

呼吸器系の病気

いろいろな呼吸器系の病気の治療
犬のアレルギー性鼻炎+蓄膿症の治療例
喉頭麻痺により巨大食道+胃拡張症候群を起した症例の治療例

消化器系の病気

胃拡張・捻転を起こした犬の治療例
イヌの便秘症(会陰ヘルニア)と猫の便秘症(巨大結腸症)の外科的治療例
犬・猫の胃・腸内異物(腸閉塞)の治療
唾液腺嚢腫の内科的治療
いろいろな肝臓病
イヌの先天性口蓋裂の治療例

このページでは、犬の胃拡張・捻転を起こした症例の外科的治療例について記述しています。
胃捻転の病態生理
胃捻転は、大型犬によく起きますが、どうしておきるのか?いまだによくわかっていません。いずれにしても急におきることと、夜に発症することが特徴です。上記は、胃捻転の経緯を示しています。ほとんどが、時計回りで捻転します。それぞれの捻転角度と胃の状態を示していますが、角度が多くなるほど重症度が増します。
実際の症例の写真
この子は13歳のラブラドールレトリバーです。糖尿病によるインシュリン治療を継続していたところ、急に吐くようになり、お腹が大きくなってきたとのことで来院されました。
レントゲン写真
おそらく発症2時間後のレントゲン写真です。正常と比べると、えっ!と思えるほどの異常です。このように胃が捻転すると、ガスがどんどん溜まってお腹が膨らんできます。
手術時の写真1
緊急手術時の写真です。横から見ていますので、ちょっと見えずらいかもしれませんが、図と比べてみてくださいね。胃が捻転をすると体網という膜が覆って胃がよくわからなくなりますが、捻転時では赤いところが見えます。ここが胃底部で、図のように捻転している場合は位置が変わります。この症例は270度捻転ということがわかります。
手術時の写真2
胃の整復後、脾臓を確認すると虚血性変化(血行が悪くて起きる変化)を起こしていました。これをそのままにすると、溜まった毒素が全身に流れてしまうため、摘出しました。また、赤くなっている胃底部は、壊死する可能性があったため、部分的胃陥入法を行い、赤い部分を内側に埋没させるよう縫合しました。
手術時の写真3
最後に、胃が再度捻転しないようにする手術(胃固定術)を行いました。まず、腹壁に胃を固定する準備をして縫合します(ベルトループ胃固定術)。それと、反対側にも簡易固定術を行い、より強固な状況にして手術を終了しました。
術後の写真
術後は、2日間ご飯を食べれなかったのですが、3日目から食欲も出て、少しずつ食べれるようになりました。今は経過良好ですが、糖尿病治療も継続しなければならないことから、インスリンの注射量を慎重に検討している段階です。もし、大型犬で、急に吐き出し、お腹が大きくなってきたら、この病気の可能性が極めて高いので、すぐに病院にご連絡くださいね。
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